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 教育部では、月に一度開催する幹部教室を通じて、執行委員のレベルアップに力を入れています。今月のテーマは「改正水道法」です。

 
 改正水道法が成立しました。事業の最終責任を自治体が負ったまま、民間に運営権を長期間売り渡せるようになりました。民営化のコンセッション方式と呼ばれ、企業が運営権を買い取り、全面的に運営を担うことが可能となったのです。
 
 
 ◆水道料金の高騰や水質などの問題が◆

 安倍政権は公共部門の民間開放を推進しており、2013年に閣議決定した日本再興戦略と位置づけ、空港や道路、水道、下水道をコンセッション方式(注1)の重点分野とし、空港や下水道では導入例が出てきたのですが、水道はゼロでした。これは、最終責任を負う水道事業の認可を、自治体は民営化する際に返上する必要があることが大きな障壁だったのですが、改正案により認可を手放さずにできるようになったのです。

 いくつかの県や市は、コスト削減効果を求め導入することを検討しているようですが、営利企業に委ねるマイナス面の対策が不足していることが懸念されます。

 先行する海外では水道料金の高騰や水質悪化などのトラブルが相次いでいるのに、政府は「それらに対処しうる枠組み」と説明しています。

 しかし、「災害や経営破綻時の給水体制の確保」など国民生活に重大な影響をおよぼす対策が明確になっていないのです。

 先行して導入条例を検討した大阪市は、17年に廃案、新潟県議会では昨年10月、「安全、低廉で安定的に水を使う権利を破壊しかねない」として、改正案の廃案を求める意見書を賛成多数で可決しています。


写真1

 
 ◆30年で5倍の料金。パリは再公営化へ◆

 フランスでは、3分の2の自治体が民営を導入しており、世界で民営水道事業を手がける「水メジャー」と呼ばれる多国籍企業が担っています。しかし、近年は「水道料金が高い」として公営に転じる動きもあります。

 パリは1984年、二つの水メジャーに水道事業を委託しましたが、2010年に再び公営化に戻しました。水道料金の高騰が主な理由で、パリによると、2010年までの30年間で5倍近くに上がったということです。

 パリの水道事業を担う公営企業の専務取締役は「水道事業は、水源管理や配水管のメンテナンスなど、100年単位での戦略が必要だ。短期的な利益が求められる民間企業は、設備更新などの投資は、後回しになりがちだ」と話しています。

 南フランスのニームでは、約50年間、水メジャーに委託してきましたが、設備の老朽化が放置されたために、漏水率が30%に至ったことから、価格を安くすることを理由に13年に公営に方針転換しました。

 安倍政権は大企業のみの利益を優先する経済政策を推進しています。海外の事例があるにもかかわらず、それを全く見ようとしません。公共部門の民間開放推進政策を阻止する運動が求められています。

 私たちは、この安倍政権を打倒するために、今年の統一地方選挙・参議院選挙で勝利することが必要です。

 ■(注1) コンセッション方式
 
国や自治体が公共施設の所有権を持ったまま、運営権を民間に渡せる制度。企業は運営権の対価を支払う一方、料金収入や民間融資で施設の建設や運営、維持管理にあたる。自治体は利用料金の上限を条例で決め、事業者の業務や経理を監視する。水道法改正案では、水道は国や都道府県が事業計画を審査する許可制とし、自治体の監視体制や料金設定も国などがチェックするとしている。



【 くさり2月号より 】




  


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